「秋」に読みたい3冊

はじめまして、こんにちは。私は東京都文京区小石川にあります書店Pebbles Booksの店長を務めています渡辺と申します。
この度はご縁があって、kokode books上で本の紹介コラムを担当することになりました。読んでみたくなるような、あるいは大切な人に贈りたくなるような本をご紹介できたらと思っています。よろしくお願いいたします。
さて、2021年10月は「秋」をテーマに3冊ご紹介いたします。

  • 『初秋』
    ロバート・B・パーカー著 菊池光訳
    980円(税込)

    1冊目はロバート・B・パーカー著 菊池光訳『初秋』(早川書房)です。

    本書は私立探偵のスペンサーが、離婚した夫婦の間で育児放棄されていた少年を一時的に引き取り、自立した青年へと導く物語です。探偵ものですが、ミステリ要素はありません。ユーモア溢れる会話、簡潔な文章が魅力で、一気に読んでしまうのではないでしょうか。
  • 『1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編』
    O.ヘンリー著 芹沢恵訳
    892円(税込)

    2冊目はO.ヘンリー著 芹沢恵訳『1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編』(光文社)です。

    本書は短編集です。そのうちの一編「最後の一 葉」は、肺炎にかかってしまい生きる希望 を失っている友人を励まそうと、主人公が階下の住人に相談を持ち掛けます。相談を受け た住人は、窓から見える落ち葉にある細工をします。すると、肺炎の友人は… O・ヘンリー作品は、小気味いいどんでん返しが魅力です。
  • 『ちひろ秋の画集』
    いわさきちひろ著 ちひろ美術館編
    2,196円(税込)

    3冊目は、いわさきちひろ著 ちひろ美術館編『ちひろ秋の画集』(講談社)です。

    本書は画家で絵本作家のいわさきちひろが秋を描いた作品集です。いわさきちひろといえば小さな子どもの絵が多いのですが、目の描き方によるものなのか、私はいつもその子どもたちに静かな印象を持ちます。秋の色付いた景色と静かな子どもたちとのコントラストが見事な作品集です。

私が小学校に入ったときは、秋に行われるのはクラスで合唱やリコーダーの合奏を発表する純粋な音楽会だったのですが、3年生か4年生のときに「焼いも音楽会」に変わりました。小学校近くの畑で育てたサツマイモを会の数日前に収穫しておいて、当日もみ殻を使って焼いもを作り、音楽の発表のあとに全校生徒みんなで食べました。とても美味しかったんですよ。
しかし、今思うと一体誰が考えたんでしょうね?焼いもと音楽会って結構斬新な組み合わせですよね!?

2021.10.30

店長:渡辺秀行

東京都文京区小石川の千川通りから一歩住宅街に入ったところで、「敷居は低く、奥行は深く」をモットーに町の本屋さんを営業しています。店名のPebblesとは小石の意味ですが、店名に恥じないようなキラリと光る書籍をご紹介できたらいいなと思っています。
よろしくお願いします。